今回出品する4名の作家は世代も表現手段も様々である。ジャンボスズキ/絵画(20代)、冨井大裕/立体オブジェ(30代)、久家靖秀/写真(40代)、矢櫃徳三/言語・木彫レリーフ(50代)というように、それぞれの作家に類似点を見いだすことは困難であるし、ある共通のテーマをあぶり出したいという意図もない。
作品とは作家がこの世界をどのように捉え、それぞれの表現形式に翻訳したかである。微妙に異なる世代間の差異が作家という個人を通して浮き彫りにされ、形式固有の性格もそこに加味される。当然その表現世界には作家個人と生きている時代、場所、言語、風俗、精神性などが色濃く反映され、それぞれの要素が自ずと表出されることとなる。さらに作品が、ある極なる場所に向かえば存在は強烈なものとなり異様な臭気をも帯びてくる。意図するとすれば作品を対峙させることそのものであって、それぞれの極のぶつかり合い以外の何ものでもない。
長谷川 繁:画家(本展、キュレーション) |