宮崎郁子 ひとがたのエゴン・シーレ
Ikuko MIYAZAKI : Egon Schiele Puppetiert
2017年1月7日[木]- 3月12日[日]
10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週:月・火曜休館
入館料/一般600円、学生500円(小学生300円)
■ 2月12日(日) 対談 水沢 勉×宮崎郁子 14時より 要予約 会費500円(入館料別)
「立体化されたエゴン・シーレの世界 人形作家・宮崎郁子が語る」
水沢 勉:神奈川県立近代美術館館長を特別ゲストにお迎えして宮崎作品の魅力などを対談を通してお話しいただきます。
幼少期より人形に親しみ、独学で作り続けてきた宮崎郁子は1995年に画集を通しウィーンの世紀末転換期の画家エゴン・シーレ(1890-1918)の作品と出会い、その絵画に導かれるようにシーレの残した作品を主題にして自身の制作を続けている。
それは、ただ単に絵画の登場人物を造形としてなぞるのでは無く、画面に向かうシーレに時空を越えて寄り添い、モデルたちに触れ、対話するように形作られていく。
その作品は人形とも彫刻とも付かぬ存在であり、100年の時を経て新たな命を吹き込まれた モデルたちは瑞々しい姿を現し、宮崎によって導き出されたシーレとの出会いの高揚を与えてくれる。
人形と私 宮崎郁子
10歳の時、私は初めて人形を作った。そして、今日まで途切れることなく作り続けている。
子供の頃、父の机の引き出しに入っていた小さな人形が欲しかったがもらえなかった。その人形は、戦時中の慰問袋に入って、戦地の父のところに届いたものであり、その後、ずっと父の心の支えとなっていたものであった。その時から、人形は私にとって特別な意味を持つようになり、見よう見まねで人形作りが始まった。
人形は玩具ではない。人形ほど、「私」自身を理解してくれるものはない。いつも人の傍らにひっそりと寄り添ってくれる祈りの存在でもある。
私は、エゴン・シーレ作品に初めて接したとき、これが絵画であるということさえ、まったく忘れ、私自身のように感じ、生きるのが苦しかった青春時代がよみがえってくるのを感じた。まるで「私」自身を理解してくれる人形のように。そうして、私のシーレ人形作りは始まった。
(中略)
書店で初めてシーレ画集に出会った1995年には、阪神淡路大震災があり、オウム事件も起こった。そして、2011年3月11日、世界中に大きな衝撃をあたえた東日本大震災とそれに伴う福島原発事故が起きた。世界中で紛争やテロも絶え間ない。以前にもまして生きる意味を問い詰められている気がしている。
シーレが生きた時代も世の中の大きなうねりの中にあった。もがきながらも懸命に生き、第一次世界大戦終結直前に未来に希望を抱きながら、28歳のシーレは、スペイン風邪に罹患し、この世を去った。
今、私はシーレが未来に託したものを形にできればと思っている。シーレ没後100年にあたる2018年、シーレゆかりの地での個展を目指して!
宮崎郁子作品集「Die Augenstamme 樹の瞳」(2013年発行)より
Ikuko MIYAZAKI : Egon Schiele Puppetiert
January 7 (Sat) – March 12 (Sun) 2017
10:00 – 18:00 (Last admission 17:30)
Closed on Mondays and Tuesdays
Admission:
600 yen for adults
500 yen for students
300 yen for elementary school students
Miyazaki had familiarized herself with dolls since her childhood, and started making dolls on her own. After her encounter with the paintings of Egon Schiele (1890-1918), she is making dolls inspired by Shiele’s works.
Her dolls are not merely copies of models in the Shiele’s paintings. Miyazaki’s creation consists of sharing the view with the painter and having a dialogue with the model.
Translation by Miho Ida