河口龍夫 展
― 関係―相似 ―
Tatsuo KAWAGUCHI

kawaguchi.work
関係―相似1・赤いチューリップ
1995 300×338mm
蜜蝋、チューリップの球根、ガラス容器、
色鉛筆、木、白のペイント
1999年 5月7日(金)〜 6月27日(日)

河口 龍夫
1940 兵庫県神戸市生まれ
1962 多摩美術大学絵画科卒業
1965 グループ(位)結成
1975-76 文化庁芸術家在外研修員
1983 筑波大学芸術学系助教授
1991 筑波大学芸術学系教授


今回の展示は、新作の〈関係―相似〉と題する15点を中心に、鳥の巣箱・本等、いくつかの既発表作品を合わせた構成となります。

私は作品に種子を使用する考えのない頃から、植物の種子を集めだしていた。 その頃、何の目的で、また、 どのような理由で集めだしたのだろうか。

おそらく私が種子に特別の関心を抱いたのは、卓上のどのものよりも種子から未知なるエネルギーを感じたからである。 そのエネルギーは、来るべき未来に備えて貯蔵されており、未来での未知なる関係が発生する可能性の予測を常にはらんでいる。……
 種子はそのままでもエネルギーを包含していることを感じさせるが、そのエネルギーはイリュージョンとしてのエネルギーである。 本当にエネルギーが発揮されるのは、発揮できる状態や条件が整ったときである。 つまり、エネルギー発揮の関係が生じた時である。 種子に関心を抱くのは、そのような関係を含んで見ることを喚起し、想像させるからである。

鉛で覆うように変化したのは、外的な要因によってであった。 その要因は1986年4月26日に起こった、世界中を恐怖させた事故によってである。その事故は、「チェルノブイリ原発大爆発」であった。 この事故によって受けた私への衝撃が、植物種子の生命エネルギーを包み、 伝導させると言う当初のコンセプトを吹っ飛ばしてしまったのである。 そして、その時以来、植物種子を放射能から保護するために、銅に変わって鉛が積極的に使われるようになったのである。
1997年9月 関係―河口 龍夫
千葉市美術館カタログより抜粋


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