市川美幸 展
- CRT -
MIYUKI ICHIKAWA



2001年 8月10日(金)〜9月30日(日)




市川美幸
1963 横須賀市生まれ 在住
1989 多摩美術大学大学院美術研究科修了


[CRT]
不完全な測量としての三角形へ


一昨年から昨年にかけてベルリンに1年滞在した。
いままで、写真で作品を発表してきたけれど、ベルリンでスチールカメラを持つことはさほど多くなかった。
かわりにビデオカメラを手にしていた。
テーマはそれまでの写真のシリーズ(tele-scope)であった「望遠鏡を通してみた世界」のイメージから始めた。
観光地数カ所に設置されているコイン望遠鏡から、三地点を三角測量のように、それぞれの場所からそれぞれを撮ってみた。望遠鏡の回転・上下運動するゆっくりとした風景でなく、定点観測のように。
そこでは絵画、写真でもなく、映画でもない。視るという行為をみる人のために、共犯の覗き見として提示する。
またその試みは無人ビデオカメラ、インターネットといった他者性、匿名性への興味へと広がった。
無意識の視線、他者の意識に、自分の視線、意識を重ねていく。
光学機器の二重使用や、メディアというフィルターを介在させること、それは世界のイメージを歪め、完全ではないツールとなる。そこではイメージの静かな騒音を感覚させてくれた。
また、メディアを振幅することで、あらたな写真へのこだわりが出てきたようにも思う。
今回の展示では、ビデオ(ユニット制作)写真を使い―写す、写される、写ってしまう、そして視る―ということについて取り組んでみたい。
2001年 市川美幸

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