湯川雅紀展
MASAKI YUKAWA

−活動拠点、ドイツで制作された最新作を中心に−


2006年7月1日(土)〜9月10日(日)

A.M.10:00-P.M.6:00(入館はP.M.5:30まで)
毎週:月・火休館 7月17日は休館になります。
入館料/通常料金 500円
●cafeセットがおすすめです!! 入館料+500円

●オープニング・パーティー 7月2日(日)14:00〜


特別プログラム

●アーティスト・トーク 7月23日(日)14:00〜

助成: 財団法人花王芸術・科学財団
後援:ドイツ連邦共和国大使館、横須賀市文化振興課、
横須賀市生涯学習財団、 神奈川新聞社、FMヨコハマ


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湯川雅紀展
 
 絵画を世界へと開かれた窓に喩える見方がいまも有効だとは思えない。だが、写真映像のおかげといおうか、あるいはブラウン管や液晶のおかげで、わたしたちはみずからの視覚が静止した矩形の窓であるかのような錯覚に陥りがちだ。変転とする世界(=画像?)を前にして、わたしだけは、わたしの視覚の矩形のフレームだけは不動であり、この窓をとおして居ながらにして世界を知ることができる、という訳である。いわば視覚の天動説。――湯川雅紀は、20世紀の多くの画家と同様、この近代の迷妄と闘う画家の一人だ。

 かれの画面に浮遊する小さな楕円形ははるか彼方を旋回する巨大な天体の影かも知れないし、大きな楕円形は心の眼だけが感知しうる微細な生命のかたちかも知れない。それらの楕円形は本当は円形で、わたしたちの視角の加減で、長細くなったり、丸くなったりしているのではないか、などと考えはじめたら、いよいよ作者の思う壺だ。そのとき、わたしたちの視覚は滑空し、旋回しはじめる・・・
湯川が数年前から試みはじめた、掛軸か、画巻のように細長い画面形も、視覚のいわば中央集権を揺るがすための、"composition"の成否という点では捨て身の作戦ともいうべきものであろう。そこには、無数の距離、無数の視点が交錯しているだけではない。複数の中心が割拠し、周縁が周縁でなくなるとき、視覚のフレームはいよいよ流動化し、生動しはじめるのである。 

松本 透(東京国立近代美術館企画課長)

 
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