第一・第二展示室
月の庭 深井隆
深井隆氏は、中原悌二郎賞、平櫛田中賞をはじめ数々の受賞経験を持ち、日本の彫刻界をリードし続けている作家のひとりです。
今展では木彫を配したインスタレーションやモノタイプの平面作品など、1995年ごろから始まった「月の庭」シリーズの最新作(2012年制作)を展観いたします。
深井氏は作品にペガサスを思わせる翼を持つ馬や神殿の柱など、一見すると西洋的な印象を持つアイテムを繰り返し登場させていますが、それらは決して西洋を象徴するものではなく、その多くがどこか日本的な「間」(空間意識)を強く感じさせるものです。
今展で紹介する「月の庭」シリーズはその着想が禅寺の庭にあると言います。
そのインスタレーションされた空間では秒、分、時といった時計が刻む時の流れとは別の、瞬間の中に閉じこめられた時間の広がりを感じることが出来ます。ある風景を前にして、他の世界の存在を忘れてしまうような個の時間。それは一瞬のうちに消散するようであり、永遠に続くようでもある…
月に照らされた庭に何時しか降り立ち、しばし休息するかのように現れ出る彫刻たち、深井氏の構築するイマジネーションの庭で私たちは易々と時空を越え、新しい光景と出会うことが出来るでしょう。
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