野村和弘
Kazuhiro Nomura

2010年10月15日(金)〜12月19日(日)
A.M.10:00-P.M.6:00(入館はP.M.5:30まで)
毎週:月・火休館

入館料/通常料金 500円


●第二展示室《文士危うきに近寄らず》同時開催中
「茶話会」11月20日(土)14時〜
 
鍵岡、酒井、両作家を囲んで茶話会をいたします。
  ※ご予約は不要です、お気軽にご参加下さい。



会期中の特別プログラム
■「満月のうたげ」 中国茶会&書のパフォーマンス
 10月23日[土]15時〜19時 ※このイベントは終了しました。


 現在、一部のマーケットに左右され全体として混沌とした感がある日本のアートシーンにあって、現代美術を改めて見詰め直す試みとしてヨーロッパのアートを見直し、それを足がかりに日本における現代美術の可能性を再考しようと、2010年はドイツからアーティストを招き、絵画展やインスタレーションを含む企画展を開催しております。
 今展では前記の企画展に続き、デュッセルドルフ美術大学(ドイツ)等に学び、一貫して現代美術の実践を続け、これからの牽引役として期待される野村和弘氏の作品を通し、日本の現代美術の今後について考えます。
 野村氏はこれまで平面、オブジェ、ビデオ映像といったさまざまな媒体によって自身の思考世界を的確に作品化していますが、今回はその中でも多くの作品の起因になっていると考えられる「タブロー形式の作品」を中心にご紹介します。
 「タブロー形式の作品」は1989年のドイツ留学中より継続的に現在まで400点以上が制作されています。
 一見「何も描かれていない」白一色にペイントされたキャンバスの様にも見える画面には、実際には存在しない、野村氏があるインスピレーションをもとに創造した植物が赤、黒、黄、橙、緑の微細な5色の色点(総数621点)によって描かれ、その1本の幹には3種類(トマト、レモン、オレンジ)の異なる実がそれぞれ2つずつ単純化された形体で整然と配置されています。

 「タブロー形式の作品」の中でくり返し描かれて来た植物には、作者によって定規され描かれた部分と同時に意図して流動的に変化する部分(要素)が含まれており、それによって個々の作品には微妙な差異(変化)が現れています。それは、実際の植物が「遺伝子情報をもとに種を継承して行く」ベクトルと「個が種を超えて新たな種へと変化しうる可能性を持つ」という2つベクトルを同時に備えている姿を思わせます。また、それらの個における差異の現れ(個の存在)が、膨大な作品の全体をも容易に想像させます。
 
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