第一展示室
金井田英津子・装画のしごと
−テキストとグラフィックのあいだに−
文学作品に寄り添い、対峙しながら、さまざまな近代日本文学の世界を版画の技法を用いた装幀挿画で現した「画本」を手掛けている、金井田英津子。本展ではアクリル絵の具のスクラッチによる原画(版)約50点を展示いたします。
金井田英津子は1985年よりCWAJ現代版画展に作品の出品を始める。以降、国内での個展や、クラコフ国際版画トリエンナーレ、マストリヒト国際グラフィックビエンナーレなどの国際的な版画展で、コンスタントに版画作品を発表。同時に、装幀挿画を積極的に手がけている。
1995年、萩原朔太郎の小説「猫町」をテーマにした個展「猫町紀行」を開催する。この個展が縁で、近代日本文学を版画の技法を用いながら「画本」にする活動を始める。1997年に刊行した萩原朔太郎『猫町』が好評を得る。
文学と版画が融合した画本は、読書の新しい楽しみ方を提供し、『猫町』以降も、夏目漱石『夢十夜』、内田百間『冥途』を刊行する。2004年に出版された長谷川摂子著『人形の旅立ち』の装幀挿画に携わる。この作品で、「赤い鳥挿し絵賞」と「造本装幀コンクール審査員奨励賞」を受賞する。
2006年には金井田の画本を元に動きを与え、町田康の朗読、オリジナルの音楽をプラスした「画ニメ」DVD『猫町』が制作される。
また、近年では近代文学と共に昔話や児童文学の装画を数多く手掛けている。
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